“一般市民が確率・統計に騙されやすいという例はいくつもあるが(注3)、このコリンズ裁判はその一つである。
コリンズ裁判に見る、「検察官の誤り」はどこにあるのであろうか。
幾つかの「特徴」があるとき、その全ての「特徴」を有しているものの確率は、ひとつ一つの「特徴」が起こる確率を掛け合わせるということ自体は間違いない。
しかしそれはあくまで、犯人の「全ての特徴を有する」確率でしかない。
そのことと(全ての「特徴を有した」ものが)「真犯人である確率」は、別問題である。 このように、コリンズ・ケースは、「犯人の全ての特徴を有している確率」と、「そのような人物が犯人である確率」を混同しているところにある。
わかりやすく言えば、①から⑥まで、の特徴を有する者が、仮に「2人」いれば、被告人が真犯人である確率は、それだけで2分の1となるし、「100人」いれば、被告人が真犯人である確率は100分の1となる(注4)。
問題は、これを、どう分かりやすく裁判員に説明するかである。
「確率・統計」の苦手な人には、いくら分かりやすく説明しても、無理かもしれない。
コリンズ裁判は、その難しさを示している。
明らかに誤った「確率・統計」の前に、市民たる陪審員は見事に騙されたのである。
それ故に、アメリカでは「訴追者の誤謬」として、広く、その誤りが、一般書にも繰り返し指摘されているのである。”
- 大川法律事務所ー主張・コリンズ裁判と訴追者の誤謬 (via otsune)
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