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- 「もののけ姫」と「猫の恩返し」が12月にBD化 - AV Watch (via fialux)
若い人で映画を作る。これは、ジブリにとって大きな課題だった。第一に、宮崎駿の作ったものと比較される。これは、若い人にとっては塗炭の苦しみとなる。第二に、近くに宮崎駿がいる。これは、経験したもので無ければ分からない大きなプレッシャーだ。随分と昔の話だが、ある企画で若い監督を抜擢したが、わずか2週間足らずで彼は十二指腸潰瘍になって入院した。
「猫の恩返し」は、「千と千尋の神隠し」の次回作だった。あの超大ヒット作のあとを誰に任せるのか? 悩みに悩んで、抜擢したのが森田宏幸君だった。
彼の特徴は、だれにも真似のできない粘りがあること。アニメーターとして、粘った絵と動きには定評があった。そんな彼の目標が演出であることをぼくは知っていた。
彼が「猫の恩返し」に取り掛かると、宮さんが森田くんの机の横に張り付いた。不安が過った。森田くんが監督業を放り出す危険性がある。それどころか、逃げ出すかもしれない。
宮さんは、思いつくことを言葉にし、また、絵を描いて見せる。しかも、それらは尋常なスピードじゃない。そこで、大概の人はついて行けなくなって逃げて行く。
しかし、森田くんは違った。それどころか、疑問が生まれると、宮さんを探して捕まえて、延々と質問をする。自分がトコトン納得するまで。
最初のうちこそ、宮さんも丁寧に答えていたが、回数が増えるにつれ、宮さんの方が辟易として来た。逃げ出したのは宮さんのほうだった。
森田くんは、終始、マイペースで「猫の恩返し」を作り上げた。
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