Textile Pieces by Morris: [Blogged] 読書観と言葉のこと:
三十一歳の誕生日を迎える頃、ふいに懐かしく思い出したことがある。
本の読み方の遍移について。
昔は文章にひきこまれる、本の中にひっぱっていかれる感覚が何よりも好きだった。
冒険譚を特に好み、主人公と一緒に息をひそめて茂みに隠れ、
靴を逆に履いて雪の上にアリバイを作ったり、パイプを加えて謎を解き明かし、空を飛び、海原を疾走し。
紙を繰ればどこへでも行ける、何でも疑似体験できることこそが読書の醍醐味だった。
10代半ばになって、内容はもちろんだが、
並ぶ言葉の触感や舌ざわりを楽しむことが増えた。
おそらく、作家と自分の年齢が近づいてきたことが大きいと思う。
…