“その日学校に現れた母はなぜか着物姿で、ものっすごい笑顔で、わたしはなんとなくイヤな予感がしていた。この女絶対何かする。職員室の隅の応接コーナーでわたしと母、そして生活指導担当の教師の3人で話すことになったのだが、なぜ彼はこういう他の教師たちもそろっている「衆人環視」の状況で話をしようとしたのだろうかと今も不思議である。彼はわたしが素直に医者の診断書をもらってこようとしない、本当は髪を染めているのではないのか、女性でも専門職として仕事をしているのはわかるがまず母親としてちゃんと生活を見ているのかという話を始め、母はやはりものすごい笑顔でその話を聞いていた。そして「でも髪のことならやっぱり医者より美容師さんの方がよくわかってるんじゃないですか?」と言う。親子そろって同じことを言う!どういう教育を!と激高する教師に向かって
「医者と理美容師じゃ信用度が違うっていうんですか?どっちも厚生大臣の出す資格ですよ。医者は大学出なくちゃだめだけど理美容師は中卒でも取れるから?その中卒が社会で負けないでやっていけるだけの知識をつけて送り出すのが中学教師の務めですよね?世間の他の人たちが中卒はダメだと言うならともかく、中学校の先生自身がそんなことを言ってどうするんですか?先生はご自分の仕事の価値まで貶めるんですか?」と、平然として言った、相変わらずごっつい笑顔のままで。ああ始まったなあ、と思った。うちの母はこういう「プロフェッショナルたれ」ということに関しては絶対に譲らない人だった、わたしが物心ついた頃からずっと。”
- 証明せよ : 漂流生活的看護記録 (via ginzuna)
「医者と理美容師じゃ信用度が違うっていうんですか?どっちも厚生大臣の出す資格ですよ。医者は大学出なくちゃだめだけど理美容師は中卒でも取れるから?その中卒が社会で負けないでやっていけるだけの知識をつけて送り出すのが中学教師の務めですよね?世間の他の人たちが中卒はダメだと言うならともかく、中学校の先生自身がそんなことを言ってどうするんですか?先生はご自分の仕事の価値まで貶めるんですか?」と、平然として言った、相変わらずごっつい笑顔のままで。ああ始まったなあ、と思った。うちの母はこういう「プロフェッショナルたれ」ということに関しては絶対に譲らない人だった、わたしが物心ついた頃からずっと。”
- 証明せよ : 漂流生活的看護記録 (via ginzuna)